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「僕が観た黄金を抱いて翔べ/モモとチャンミンの周波数」

超個人的意見です。さらりと流して下さい。

昨日、ようやくレイトショーにて黄金を抱いて翔んで来ました…と言う事で何となく感想なんかを書いてみたいと思います。もちろんネタバレは無しの方向で努めます。あくまでも僕が勝手に感じて勝手に解釈した事です。原作を読んでいないので原作を読んでいる方には何言ってるの?と思われてしまいそうですが…そして僕はビギストですのでチャンミン中心の感想となります。

先日の記事でも書いたように、はじめはチャンミンが出演する事が決まったこの映画にはさほど興味がなく、何故あの忙しい時期にオファーを受けたのか?…そんな事ばかりを思っていたけれど、いざ公開日が近付くに連れどんどんと作品のメディア露出が増えて全貌が明らかになって行き、次第に興味も湧いてきて、思わず舞台挨拶にエントリーしてみたけれどやっぱり落選してしまって…

だから映画を観に行くのはいつでもいいかなと思っていた。
けれど、ツイッターなんかを眺めていると初日に映画を観に行ったビギストがとても多くて、何だか少し申し訳ない気持ちになって、これはやはり早いタイミングで観なくてはいけないなと思い立ち昨日劇場に足を運んだ。

所謂ハードボイルド作品、そして井筒和幸監督、通常ならば僕が映画鑑賞で絶対にチョイスしないセレクト。そもそも井筒作品の土着した血の匂いのする作風があまり個人的に得意ではなくて、暴力シーンやギラギラとした欲のようなナマモノの部分、そういうモノを観るのがあまり好きではない。そしてこの黄金を抱いて翔べはまさにその部分がド直球で飛んで来る作品。正直キツかった。

この作品にチャンミンが出ていなかったら絶対に観ていなかった。
血と汗と油とコンクリートの臭い、鉛色の低い空、喉が渇き続けている様な感覚、そして声に出せない闇と孤独、それらを孕んだ重い空気が作品を通して漂っているようだった。おそらく人によってはそれがとても男臭くカッコ良いものに見えるのだろう、けれど僕にとってはひたすら重くある種の拒絶反応さえ起こしていたかもしれない。正直前半部分はそれらを整理するのに大変であまり話に入り込めなかった。
そんな中、チャンミンが演じたモモだけはその類いの拒絶がなく、素直に受入れる事が不思議と出来た。それはチャンミンがモモを演じたからということではなくて、モモというキャラクターがとても魅力的なキャラクターだったからなのだと思う。

モモが「ヒョン」と言うシーン。あのシーンで一気にモモに引き込まれた。

追われ続け明日さえわからない命、四面楚歌、途方もない孤独。モモはずっと泣いているように見えた。諦めながらも淋しくてずっと手を伸ばしているように見えた。そこに存在しているだけで胸が締め付けられる感覚、そんなモモが幸田に少しずつ心を開いた瞬間が見えたりすると何だか自分までホッとしたりして意味もなく涙が出た。←はいバカですオレ。そんな淋しくてどこか優しい闇。この作品の中で金塊よりも札束よりも一番欲しかったものがモモだけは明確でそれも痛々しかった。

何だかモモの心の周波数が理解できてしまう気がして…そしてチャンミンもそんなモモに惹かれて黄金をやってみようと思ったのかなと…なんてちょっとダークな事を言ってみたり。

そんな魅力的なキャラクターであるモモを演じ切り後悔はないと言ったチャンミン少々デカイよとか華がありすぎるよとか突っ込みどころもあるものの、モモを演じられた事はチャンミンにとってラッキーだったと思うし本当に良い役だと思う。東方神起チャンミンという色眼鏡ではなくモモを演じたひとりの人間として見てもらえたらイイね、チャンミン いやチャンミン入り口で僕も黄金見たけどね…

散々と井筒作品苦手だ何だと言ってみたものの、原作を読んでいない僕にとってはやはり幸田を演じた妻夫木聡は素晴らしく、どこか不器用でアウトローなやさぐれオーラを纏いやり場のない乾きと苛立ちと孤独は観ている者の心に風穴を開ける程だった。ストーリーも後半からのスピード感と緊迫感は瞬きも出来ない程に充実したものがあり、大銀行の金庫破りってそんなに簡単にできちゃうかな?とかちょっと疑ってしまう部分はあったが、強奪シーンはかなりの吸引力を持ち映画として楽しむ事ができた。

制限のある時間の中に収めなくてはいけないので多少乱雑に思える部分は否めないものの、モモや幸田以外にもそれぞれに背景を抱えるキャラクター達はそれぞれに物語を持ち、作品だけでは見えない部分を匂わせてくれる上手いキャスティングだったと思う。溝端淳平には今までにない新しい役者の顔が見え、西田敏行はさすがの存在感、浅野忠信はギラギラとした男臭さ、そして桐谷健太は唯一のコミカルな役割で作品に良いアクセントを付けていた。
老若男女全ての人にオススメとは言いづらく、やはり井筒監督は男に見てほしい男の映画なのではないかなと言う所が正直な感想。チャンミンをキャスティングしたことによって多くの女性がこの映画に足を運んでいる事は制作側からすれば嬉しい誤算だったのかもしれない。まぁー若干引いてるだろうとも思うけど…。それとも計算通り?

黄金を抱いて翔べ、オススメはしないけれど観て損は絶対しない作品です!

さば寿司は個人的に苦手な食べ物だけど今度見かけたら買って食べようと思います…泣きながら。そしてこれから先さば寿司を見る度に思い出してしまうのだろうと思います。モモもあの人と今頃一緒に食べてるかもね…さば寿司。

最後に安室奈美恵のエンディング曲「Damage」。作品に合っていないのではないか等の賛否両論あるものの、僕はアレでよかったのではないかと思う。ダークでクールなロックナンバー、安室奈美恵のタフな女性ボーカルが黄金を抱いて翔べの世界に飲み込まれた心をスパンと元の世界に戻してくれるような気がしたので、むしろあの曲にある意味で助けられたような気持ちになった。配信のみのリリースと言う事で、出来ればシングルで切って欲しかった。チャンミン安室奈美恵がレザーなんかを着ちゃって共演するMVとか作れば最高にカッコいいと思うのにアムロミン万歳!

とりあえずアレですよ、ユノの黄金感想が聞きたい。

「余談」
黄金を抱いて翔べを観たあとにどうしてもコーヒーが飲みたくなって、けれど一様にカフェは閉店していて、ぽつんと開いていた夜半のマクドナルドに立寄った。店内はがらんとしていて、少しだけダレている3人の若い男子店員、雑談をしていたかと思うと僕の姿を見つけて営業姿勢へと切り替え注文を聞く。コーヒーを注文して辺を見まわすと壁側の隅に座っている抜け殻みたいにうなだれた浮浪者風の老人、携帯を眺めるでもなくぼんやり開いている酔ったスーツ姿の中年、そして油のにおい。さっきまで観ていた黄金の世界に無理矢理引き戻されそうな気がして急いでコーヒーを受け取って店を出た。

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