「TREE/Sの違和感とTの情」

超個人的意見です。さらりと流して下さい。TREEについて多少辛辣な事を綴っています。音楽はあくまでも好みの問題なので、意見の相違に気分を害される恐れがあり、TREE大満足という方は読まないという選択がある事をお伝え致します。

TREEです。散々にこじらせ続けて遂にこの時がやって来てしまったという感じ、あまりにも思いが強過ぎて聴く事さえためらってしまった東方神起のニューアルバム。シングルリリースの度に期待を裏切られ続け、TVXQの犠牲に潰され続けた東方神起の音楽、それでも待ち続けた東方神起の音楽。

前回アルバムTIMEのあまりの酷さに絶望したトラウマが甦ってしまう、どうせどんなに待ってみても同じ事の繰り返しと捻くれてしまう、見事に完成度の高いアルバムTENSEと否応無しにも比べてしまう、“方向性やコンセプトの違い”だけでは言い逃れができない、ほぼ同タイミングでリリースされる事によってより作り手の才能が露骨に見えてしまう現実。

…ということで、TREEです。

とりあえずはじめに言いたい事はChampionのPVぐらい作れよコノヤロー!と言う事、あれだけ韓国曲でガッツリPV作っておきながら日本のPVのおざなり流れ作業っぷりがどうにも納得出来ない、アルバムオリジナル曲でダンスPV入れるぐらいのファンへの労いが欲しかった、無駄に値段が高いだけで充実していない内容は恥ずかしい仕事でしかない。

さてアルバム。初見で通して聴いた感想は…正直何も残らなかった。良くも悪くもクセがない…でも何だかよくわからない…でも決して悪くない…でもやはりそれほど良くもない(?)。作品的にはTONEに似ている輪郭、コンセプト的にはTIMEに似たライブを強く意識した内容、もしもTREEと合わせてT三部作とするのならば集大成といったところなのかもしれない。

TIMEと違い既存曲を詰め込まずに新曲を多く入れたと言う事は嬉しいけれど、はっきり言ってそんなのは当り前の事だし普通の事、既存曲突っ込んで無理矢理仕上げたTIMEが怠慢なだけの話。TREEは様々なタイプの楽曲を取り揃えてバラエティに飛んでいると言えば聞こえは良いけれど、どうも一本筋が通っていない気もする。あれもこれもとまとまりがなく一本の大きな木と言うよりは雑木林。ライブでの起承転結を意識し過ぎてひとつのアルバム作品としてぼやけている。どうにか形を保っているのは“それなり”に曲が揃っているからなのかもしれない。

うーん、アイドルアルバムの域を越えられない…やはり東方神起にそこまでをもとめてはいけないのか、でも完全アイドル仕様のTVXQが出来ていることなので、やはり作り手の問題かと…。

ライブを強く意識しているとはいえ、アルバムを聴いただけでそのライブの内容が見え過ぎてしまうというのもどうかと思う、この作品をどうライブで仕上げるのだろう?とファンに不安と期待を持たせ募らせてステージでカタルシスへと導いてこそエンターテインメント、何となく大体わかってしまうなんてその時点で作業と発想が貧困。ライブ事業へと比重を傾けシフト変更をしているとは言え、土台である音楽が良くなければライブはより良くならない、そしてライブに行けないファンだっていると言う事実を切り捨て過ぎている。

やはり根深いのは作家問題。

東方神起の成長に合わせて作品を作っただかなんだかと何かの話で目にしたけれど、東方神起が成長しても、同じだけ作家が成長するわけではないので、既存の作家をいつまでも使っていること自体が成長の足を引っ張る恐れがある事もなくはないのではないかと…。昔からお世話になっているからとかどうでもいい馴れ合いはリスナーにとってはただの迷惑。もっと違う才能や新しい才能を見つけて成長を加速させるという事は考えたりしないのかが疑問で仕方ない。

そしてTREEの制作はどうやらTIMEツアー中から行われていたと言う事なので、後に実施されたエイベックスのアンケートがあまり反映されていない恐れがある。あのアンケートでは多くのファンが楽曲に対しての要望を訴えてたはずと僕は踏んでいる。

ファンの声を重く受け止めるのならばこのような内容にはならないはず。

…と言うか、1人どうしても足を引っ張っている作家がいるような気がしてならない。悪くはないけれど何処かで聴いた様な既存感満載なメロディと子供の作文かと疑いたくなる様な安い言葉を並べた残らない歌詞、アルバムに良い流れが出ていても彼の曲が入るとガクンと下がる。まるで90年代のアイドルソングを間違えて入れてしまった様な違和感。

今の東方神起(年齢も含めて)に合っていないような気がする。

二十歳そこらのアイドルなどが歌えばドハマりするような曲、日本人らしいメロディと音符の上に行儀良く乗った言葉、それらがJーPOP色を強めていると言えばそれは間違いではないけれど、音楽にも適材適所というものがあり、彼の作品は東方神起という輪郭に合わなくなってきていると思えて仕方がない。

だからと言ってKーPOP色を強めて欲しいと言う事ではなく、もっと2人に合う曲あるだろ?と単純に勿体無く思えてしまう。

TONE、TIME、TREEを三部作としてファミリータイプのアルバムを完結させて、次のアルバムは筋が通っていて突き抜けた東方神起の音楽が聴いてみたい。

各曲の感想をと思っていたけれど、予想外に前置きが長くなってしまったので次回にでも…いや、するかしないかわかんないけど…。

さて、TREEについてかなり辛辣な事を綴ってしまったわけだけど、TIMEのように絶望したわけではなく、実はそれなりに気に入っている。TENSEのように一気に惹き込む魅力はないけれど、TREEは何度も聴いているうちにじわじわと浸透して何だか馴染んで来ている感覚がある。もちろん日本語という安心感が馴染ませるきっかけにはなっているけれど、それだけではない気もしている。

TENSEはもう一度聴きたいという自然な欲求でリピートするアルバムだったけれど、TREEは何だか気になってもう一度聴いてみようかな?と手を差し伸べてリピートしてしまうアルバム、あえて言うならば僕的には“ほっとけない”アルバム。

やはりよくわからない、スリスリに匹敵するような突き抜けたキラーソングが入っているわけでもない、ぼやけている、時折ジョーカーが入り込んでいる事も否めない。でも何だか馴染む不思議なアルバムTREE、さらに聴き込めば新しく芽吹いて育つのかもしれない、けれど浸透して馴染ませているのは他人から見れば馬鹿げていて愚かな東方神起への情なのかもしれない…。

あれこれに掻き消されて春はまだ見えない…とりあえずリリイベ当れ!←結局そこ

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