「鬼束ちひろ/シンドローム」

超個人的意見です。さらりと流してください。今回は鬼束ちひろの記事です。
 
先週インフルエンザにかかってしまった。常日頃ドアtoドアのうがいと手洗いを欠かさず、屋内設置のアルコールスプレーもし、マスクもしていた。そして何より昨年末に予防接種も受けていた…けれど今年は負けてしまった。どんなに予防を心がけていてもなる時はなってしまうものですね、インフルエンザ…。残っていた咳もようやく抜けた。やはり健康はありがたい。
 
さて、健康といえば最近の鬼束ちひろです。←無理やり感
 
昨年末にFNS出演について綴った絶唱の歌姫という記事をあげてから約2ヶ月、彼女が再びメディア活動を活発にさせた。ニューアルバムシンドロームのプロモーションとして二つの音楽番組に出演をした。1月28日にMUSIC FAIR、2月3日にLove musicに出演、昨年リリースした新曲のgood bye my love、そしてMUSIC FAIRでは新曲と合わせて月光の披露も行われた。
 
good bye my loveは伸びやかな高音とファルセットが印象的でこれまでの声の不調もどこ吹く風と言わんとばかりに丁寧で見事な歌唱だった。そしてサビのフレーズ、
 
〝 悲しいだけのラブソングもう歌えない 〟
 
まさに、まさにの説得力だった。変わり果て地に落ちたあの頃とはもう違う、新しい声、新しい歌。栄華を誇った東芝時代の歌唱ともまた違う、あの頃のように絶対的な歌声ではないかもしれないけれど、それとはまた代え難い新しい鬼束ちひろの歌声、これまでを受け入れて包む込むような深いたおやかな歌声、それが今の彼女の新しい歌声。言葉を大切にして思いを込めるスタイルは変わらない、唯一無二の天才の歌声。
 
歌えた、本当に歌えた、やっと歌えた、ずっとずっとその歌声を待っていた。
 
これが鬼束ちひろの歌の力、願いが叶ってしまった、嬉しくて嬉しくて涙が止まらなかった。
 
そしてMUSIC FAIRでの月光、奇しくも司会はトリックつながりの仲間由紀恵、彼女に捧げると言って歌われた月光は紛うことなき鬼束ちひろの月光だった。FNSでの魂の絶唱もよかったけれど、正直緊張のせいでピッチはボロボロだった。けれど今回はちゃんとコントロールされた歌声、今できる全身全霊の最高のパフォーマンスだった。
 
こんなにも人の歌声は生まれ変われるものなのかと耳を疑ってしまうほどだった。
 
不死鳥は終わる時にその身を燃やし炎の中から再び生まれると聞いたことがある。不死鳥のような見事は歌声の再生、蘇生かもしれない、何度でも人は生まれ変われるしやり直せる、奇跡を起こすことだってできる。それをその姿と歌声で証明しているようだった。
 
FNSの月光からたった数ヶ月、絶対に叶わないと思っていた願いがまさかこんなにも早く、そして鮮やかに叶ってしまうなんて、大げさかもしれないけれど、生きていてよかったと思った。ずっとずっとずっとずっと待っていた歌声、奇跡は本当に起きた。
 
…おかえりなさい。嬉しくて嬉しくてまた泣いてしまった。
 
2月1日 ニューアルバム「シンドローム」リリース!
 
実に6年ぶりとなるオリジナルアルバムは原点回帰と銘打った大勝負作、ファンが待ち続けた東芝EMI時代の鬼束ちひろへのアンサー、デビュー作インソムニアを意識したとも言われる内容で、本当に素晴らしいです!シンドローム!!
 
これまで何度も原点回帰をうたいアルバムをリリースしてきたけれど、正直どれもピンとくる作品はなかった。
 
制作陣や彼女が言う原点とは3rdのSugar highまでの鬼束ちひろの事だと思われるけれど、4thのlas vegasからのアルバムはどこか頼りなく物足りなかった。それは歌声だけの事ではなく所謂捨て曲が存在してしまっていた。もちろん素晴らしい楽曲もたくさんある。けれど一枚を通した印象はどれも3rdまでの作品には及ばなかった。
 
それが今回のシンドロームは本当に本当に本当に大復活。原点回帰どころの話ではなくその先の新しい鬼束ちひろをも表現されている。捨て曲一切なしの楽曲群、歌声と共にアルバムクオリティも息を吹き返した。羽毛田丈史氏でなくても良い作品を作ることができた。それは今の鬼束ちひろにとってとても大切な発見だと思う。
 
音楽ナタリーのインタビュー記事で、今作に関して、ファンが求めてる鬼束ちひろ像に応える事を重視し、楽曲制作に専念、土台さえしっかりしてれば良いと答えている。 一時期はそのイメージを疎ましく思い突き放し背中を向けた時もあったが今はやらされている感もないと言う。自分のこだわりよりもファンがどんな鬼束ちひろが好きなのだろうという思いに答えるほうが大事だとさえ言っている。
 
シンドロームという作品は気負うことをやめてこれまでの自分やファンの思いと向き合い、受け入れて作り上げたからこそ、これほどに情の深い作品になっているのだと思う。
 
アルバム制作のきっかけも興味深く、花岡なつみへ楽曲提供した夏の罪のディレクター木谷徹氏との出会いが大きかったと言う。花岡なつみはもともと鬼束ファンでオーディションで月光を歌い、それがきっかけで夏の罪提供に繋がった。そして夏の罪がきっかけに今回のシンドロームへと繋がった。月光が撒いた種がシンドロームを開花させたと言っても過言ではないと思う。そういう意味では奇跡的な原点回帰なのかもしれない。
 
 
とは言うものの、ファンが求める鬼束ちひろというアンテナでここまで名曲を揃え一枚のアルバムへ昇華させたこと、天才としか言わざるを得ない。
 
新しい鬼束ちひろの歌声を開花させているgood bye my love アルバムバージョンで爽やかで雄大な印象になった碧の方舟 ザ・鬼束ちひろといった世界感、彼女自身の推し曲でもある弦葬曲 泣きのブルースのようなアレンジがカッコいいSweet Hi-Five ハードなのにキャッチーでエッジの効いたULTIMATE FICTION 唯一の過去曲で捨てられなかったという悲しみの気球 siaのChandelierにインスパイアされた美しい三拍子の同名曲シャンデリア 穏やかな中にも強い意志と深い慈愛を感じるさせ、これからの可能性も見せた火の鳥 シングルバージョンよりもさらにエモーショナルなgood bye my love(acoustic version)
 
 
どの曲も鬼束イズムが行き渡った名曲揃い。メロディーメーカーとしての才能を遺憾なく発揮した心の琴線に触れる音楽、これぞ美しき鬼束ワールド。言葉の選び方の変化は伺えるが根底にある芯の強さは変わっていないと超個人的には思う。僕にはメロディも歌詞も昔と変わらず刺さります。僕は美しく強い音楽が好きです。
 
本物の音楽は必ず生き残る。
 
孤高の天才による奇跡のアルバムシンドローム全力でオススメです!!!
初回盤についてるライブ音源はまさに魂の絶唱、全力でオススメです!!!
 
かつて鬼束ちひろの音楽を愛した人、変わってしまった鬼束ちひろを諦めて遠ざかった人、鬼束ちひろの復活劇を信じられない人、そんな人には是非ともAmazonのレビューも合わせて読んで欲しい。そして一度でいいからシンドロームを聞いて欲しい。
シンドローム (初回限定盤)

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心と体が音楽に連動し如実に反映してしまう諸刃の剣のようなアーティストの鬼束ちひろ。今は良い状態なのだと思う。審美眼の優れたプロデューサーと熱いスタッフに囲まれて心身ともに健康なのだと思う。健康一番、どうか自分の心と声を大切にして欲しい、やっと取り戻した鬼束ちひろの音楽を大切に欲しい。

 
4月から始まるツアーに大いに期待!チケット当たりますように!!